「陛下にお会いしたい」

オランダ王国

異例な招待がオランダのウィレム=アレクサンダー国王から届いた。それは単なる国同士の接待でなく、古き友人を懐かしみ昔のように一緒に過ごそうという素敵なサプライズ。決して日本という国に対しての辞令でなく、天皇・浩宮さまと雅子さま(もちろん愛子さまも)個人に対する「家へのお招き」。
だが3人とも一度に日本を留守にできないという事情から天皇陛下夫妻だけで日本を出発。オレンジの国オランダの空に入るといきなり戦闘機が現れて誘導され、空港には官僚、兵隊とオートバイ隊が綺麗に並んでいる。友好的な招待でもレッドカーペットのお迎えは最高級。歴史に残るようなその輝かしい光景に驚く。

まず誰もが憧れるオランダの明るくて仲の良い国王・王妃と、3人の王女たち。男系男子をお経のように唱えているどこかの国の爺やたちには信じ難い家族構成。でも国王は良いお父さん。優しくてお母さんを大事にしている。天皇陛下と全く同じ。

到着後すぐ御付きの方たちを特別に用意したホテルに送って、浩宮天皇と雅子皇后は王宮でマクシマ皇后の提案で、オランダ対日本のFIFAワールドサッカーを観戦。全員で青春していたので4人の顔がほんとうに楽しそう。ついこちらまで嬉しくなる。

オランダ王とは家族ぐるみのつきあいから愛子さまとも馴染みのあるアマリア王女。もともと女王の歴史で知られるオランダ王国はこの2003年生まれのアマリア王女誕生に大きな期待を寄せている。彼女は王権を継ぐ準備のほか、政治学、心理学、法律と経済も勉強。現在もアムステルダム大学で法律を勉強中。軍隊にも一時期編入して一般の訓練を受け、国の防衛についても学んでいる。やはり直系長子ならではの帝王学真っ最中。

晩餐会ではウィレム=アレクサンダー国王が自らのスピーチの中で、雅子皇后の父親・小和田恆氏の国際司法裁判所で果たした功績と長年の貢献に敬意を表した。思いがけない国王からのお言葉に雅子さまも感激していた。

もちろん今回も慰霊などの公務や天皇のスピーチなど仕事のスケジュールもぎっしりと埋まっていた。行き先々常に同行していたオランダ国王夫妻から「もっと長く居て」というような惜しみある挨拶を受けた天皇陛下夫妻は、とても名残惜しい感じで次の目的地へ向かった。


ベルギー王国
天皇陛下夫妻がオランダ王国からベルギー王国へ入ると、こちらも戦闘機が待機していてエスコート。到着するとそこにはフィリップ国王の長女で次期国王となる皇太子エリザベート王女が待っていた。最高の挨拶を受けると雅子さまは彼女の成長ぶりを感心したかのような笑顔を向けた。

「3世代揃って同い年」のベルギー王国と日本の皇室。フィリップ国王とマチルド王妃の直系長子であるエリザベート王女はもちろん愛子さまと同い年。ベルギー初の女王誕生として生まれた時から注目されてきた王女。

エリザベート王女はまずブリュッセルのロイヤルミリタリーアカデミーで男子と同じハードな訓練を受け、その後歴史と政治学を学びにオックスフォード大学へ。その後ハーバード大学院で法律を勉強して帰国したばかり。ちなみにフィリップ国王はスタンフォード大学院で政治学部を卒業している。父親と同じ帝王学を受ける傍ら、世界の皇族の結婚式、ヨーロッパの王室の即位式など直系長子に求められる全ての公務をこなしている。未来の王であることに誇りを持ち、弟や妹たちに常に助言を与えて誘導する姿もかなり有名。今回は彼女がフィリップ国王から初の国賓接遇を任された。

まず用意されていたのは天皇陛下の異例の宿泊先。私もベルギーに10年以上住んでいたが、全く知らなかった王室私的の別荘シエルニヨン城が初登場。そんなプライベートな隠れ家に国王の家族全員が迎えてくれるなんて政治レベルでは全くありえない。しかも男性陣はネクタイ無しでジャケットのボタン1つ、女性陣もカジュアルな夏物のワンピース。この意外な演出にベルギー国民も驚いた。写真撮影の後はもちろん8人で静かに夕食。エリザベート王女の案だろうが、まるで家族ぐるみで親しい友人を自宅に迎えるような温かさを感じた。

ちなみにエリザベート王女の兄弟はガブリエル王子、エマニュエル王子、エレオノール王女。男兄弟がいても生まれた順番を優先して、しっかり者の長子を選ぶヨーロッパ。しかも長女独特の父親譲りの顔や姿を見れば国民も安心する。直系長子以外の兄弟やスペア(王様の兄弟)一家は、国民と同じように就職して全員外で働きながらエリザベート王女をサポートする。ヨーロッパの伝統ある王権は揺るぐことなく歴代受け継がれている。

また現在ヨーロッパの王室では、次世代を継ぐ王女たちの活躍が一段と増している。今回紹介されたオランダ王室のアマリア王女、ベルギー王室のエリザベート王女の他にも、軍で指揮を取るスペイン王室のレオノール王女や、北欧のスェーデンやノルウェーなど王女の活躍が目立つ。王位継承者はいずれも学業や軍事訓練の他、公務の経験を何年も積んできている。

これまで招待を受けながらも政府にとって必要な外交以外に外国へ出ることが許されなかった両陛下の長かった道のり。両国の絆の深さを示す感慨深い異例の接待に、天皇陛下夫妻の笑顔も心底リラックスされて一層輝いて見えた。そしてその周りの人(オランダ国王夫妻はもちろん、普段笑わないベルギー国王夫妻)までもが今回特別に明るく微笑んでいた。

世界の新聞は、待望の愛子さま誕生に伴う各王室からの祝福ニュースから、伝統対神話の不可解な継承問題まで歴史の全てを知っている。天皇陛下と王室がこれまで築いてきた親しい関係が、次世代へ受け継げられるかどうか、今後も期待しながら応援したい。

Photos Credits: オランダ王室、宮内庁、ベルギー王室、オランダプレス、ロイヤルマガジン、マキシマ王妃、ガブリエル王子公式サイト

