
歴史を訪ねて
図書館で本を予約したら、新しい本が紛失したと言って、代わりに図書館秘蔵の1949年初期版が届けられた。本のカバーは時代を感じさせるシンプルな赤い革で、印刷もインクが濃い。古いけどこっちの方が断然得した感じ。

1948年の夏、E. B. Whiteは確かにNew Yorkにいた。「幸運になりたくなければニューヨークに来るべきじゃない」と始まった本。ここは「終わりのないチャンスがある場所」なのだからと説明。当時ニューヨークの人口は約8億人で、そのうちユダヤ人が2億人、4人中一人を占めていた。ユダヤ人の他はアイルランド人、ドイツ人、ロシア人、ポーランド人、プエルトリコ人、イギリス人など。中国人(おそらくアジア人全部)は1万人ほどとされていたが、当時不法移民が多くて国勢調査に入らなかったから不明。
まだネグロと呼ばれていた黒人は70万人で、そのうち50万人はハーレム(110th ストリートから北上)に住んでいた。Jim Crowe principles (ジム・クロウ法)がまだ生きていて、彼らはバスや地下鉄には乗れるが、ホテルやレストランなどあらゆる場所で差別を受けていたそうだ。
でもそれだけでない。ニューヨークはとにかく人が多すぎて、どこでも混んでいた。レストランも時間がかかり、空いているタクシーも白人同士で先に乗り込んだ者勝ちという奪い合いをしていた。「居心地が悪いし、便利が悪い」場所だった。
それでもニューヨーカーは離れない。「揺るぎなく抵抗できない魅力」がここにはある。「ニューヨークは首都ではない、ここは世界の首都なのだ」と書いたホワイト氏に思わず大きな拍手を送りたくなった。
時間を忘れてあっという間に54ページを読み終え、まるで映画を見ていたかのように感じる本。ホワイト氏はこれは1948年の夏だから、時を超えた読者にはピンとこないかもと前置きしてあるが、ニューヨークに住んでいる人、行ったことのある人、まだこれから行く人、全てに対応できるからすごい。
昔の人は余計な事を書かない。シンプルで的を突いているから読者にとってありがたい。最後の文章も自然が入ってとても人間的。日曜日のお昼、まるでホワイト氏が語りかけてくれたような本に出会えて嬉しかった。


One day at the Vancouver Library in 2026
All photos by Maple Press Canada

