
映画で世界を知る
第45回バンクーバー国際映画祭
プログラムとバランス
今年で45回目を迎えるVIFFことバンクーバー国際映画祭は10月1日から11日まで開催される。8月26日はメディア向けにプログラムの予定が発表された。

VIFFエグゼクティブ・ディレクターのKyle Fostner (カイル•フォスナー)氏は「今年はVIFFにとって、新たな章の幕開けとなる年です」と前置きし、「『Institute for the Moving Image(映像文化研究所)』の立ち上げ、過去最大規模となるライブ・パフォーマンス、さらに今年は映画史に名を残す巨匠たちの魅力的な傑作映画と、世界各地から台頭する新世代の力強い才能による作品との『バランス』を取り入れています。創造性、好奇心、そして人間味あふれる芸術才能の発掘と革新の場としてVIFFは常に進化を遂げています」と話した。

プログラミング・ディレクターのCurtis Woloschuk (カーティス・ウォロシュク)
氏は、「今年のラインナップに含まれるすべての作品は、VIFFが支持する『文化への深い関わり』『進歩的な精神』『人々の心に響くストーリーテリング』を体現しています」と話し、「これらの作品は、映画の現在の姿を映し出すだけでなく、私たちが今生きている激動の時代をも反映しています。時に観る者に問いを投げかけるような作品であっても、その根底には家族や地域社会における愛や思いやりの尊さが描かれています」と上映作品の見どころも付け加えた。
第45回VIFF(バンクーバー国際映画祭)では、長編映画162作品が上映される。内訳はワールド・プレミア、インターナショナル・プレミア、北米プレミア、カナダ・プレミアに加え、短編映画、エピソード形式のシリーズ作品など計76カ国の作品で構成されている。もちろんベテラン監督の最新作から、異例のドキュメンタリー、新人監督による新しい試みなど、長編、短編、ライブ演奏や特別イベントやアーチスト育成プログラムなども取り入れたプログラムとなっている。
気になる世界中の文化
VIFFのオープニングを飾るのは、ジェシー・アイゼンバーグ監督による『The Debut』。この作品は、演劇界特有の自意識過剰な空気を風刺しつつ、スポットライトを浴びることで初めて実現する「自己実現」の喜びを描く誠実なコメディ。
映画祭のクロージングは、マーティン・マクドナー監督の『Wild Horse Nine』。舞台は1973年のクーデター直前のチリ。長年の相棒であるCIAエージェント二人がそれぞれの暗い過去や渦巻く陰謀の中で予期せぬ事態へと向かっていく。

日本映画はまず大物監督が並ぶSpecial Presentations部門から2本上映される。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に招待された濱口竜介監督の『急に具合が悪くなる(All of a Sudden)』と、ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映を終えたばかりの是枝裕和監督の同名漫画原作実写版作品『ルックバック(Look Back)』。どちらも上映前からかなり注目されている。
視点の優れたShowcase部門の日本映画は、同じくカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に招待された、日加トウディがメディア・スポンサーの深田晃司監督の『ナギダイアリー(Nagi Notes)』。そしてカンヌ国際映画祭「ある視点」から岨手由貴子監督の『すべて真夜中の恋人たち(All the Lovers in the night)』が見逃せない。
惜しくも今年初めに逝去したイギリスの映画評論家Tony Rayns (トニー・レインズ)氏。彼はVIFF長年のプログラマーであり、北野武監督など数多くの東アジア映画監督を発掘・紹介してきた偉大な人物。今回彼への追悼映画として、韓国の階級分断を鋭く描き出したイ・チャンドン監督の8年ぶりの新作『Possible Love』が上映される。さらにマルクス・シュラインツァー監督の『Rose』(ベルリン国際映画祭で最優秀演技賞受賞)やホン・サンス監督の『Nowhere to Lay My Eyes』(ロカルノ国際映画祭で監督賞・最優秀演技賞受賞)など、カナダ初公開となる世界の長編映画が並ぶ。
今年の特集映画はドイツ。これはVIFFとジャーマン・フィルムズ(German Films)の共同企画で、「Focus on New German Cinema: Extreme Tension」と題し、心理的な深み、際立った映像美、そして社会への鋭い視点を備えた6本の長編映画が上映される。クリストフ・オットー監督『The Ballad From Wednesday to Thursday』やカイ・シュテニッケ監督『Trial of Hein』など、予告から緊張感が感じられる作品が登場する。
50本以上の長編ノンフィクション作品を放つVIFFは、実質的にカナダで2番目の規模を誇るドキュメンタリー映画祭ともいわれる。バンクーバーのジョエラ・カバル監督の『First Comes Love: Nakabingwit』、デヴィッド・エーレンライク監督の『Relax, Open Your Eyes』、カナダの注目作としてマシュー・ランキン監督の最新作『Ladies and Gentlemen, Brian Mulroney』、ショーン・メナード監督の『Run Terry Run』、そしてエイドリアン・ブイテンハイス監督の『Man in Motion: The Rick Hansen Story』などカナダ文化に触れられる。
2026年のアーティストおよび業界育成プログラムMedia Summit の「VIFF Industry」および「Amp Music in Media Summit」は、現在進行中のプロジェクトに焦点を当てビジネスの発展を促すことを目的としている。脚本家、プロデューサー、編集技師、国際映画祭プログラマーなどがメンターとして来加。また音楽と映像を結ぶ「VIFF Amp」には、国内外の数多くの有力レーベル、音楽スーパーバイザー、作曲家が参加する。「VIFF Live」特別企画は、「An Evening with Mark Mothersbaugh(マーク・マザーズボーの夕べ)」。多作な映画音楽作曲家である彼が、16人編成のアンサンブルを従えて一夜限りの特別コンサートを披露する。『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』、『天才マックスの世界』、『マイティ・ソー バトルロイヤル』、『LEGO® ムービー』、『A Minecraft Movie(原題)』など、彼の輝かしいキャリア作品の数々が披露される。
VIFF理事長のAm Johal氏は、「VIFFの魔法は、単にスクリーン上で生まれるものではありません。それは何百人もの情熱あふれる人々の尽きることのないエネルギー、ビジョン、そして熱い想いによって、その土台から築き上げられているのです。VIFFはまさに、映画を愛する人々のための映画祭です」と締めくくった。
チケットはviff.orgにて購入。通常上映および「スペシャル・プレゼンテーション」のチケットは1枚22ドルで、6枚綴りおよび10枚綴りのチケットパックもある。VIFF+会員はすべてのVIFFチケットを割引価格で購入できるほか、19歳から25歳までを対象とした無料の「U25メンバーシップ」では、さらなる割引が適用される。長編映画やライブはもちろん、世界のドキュメンタリーなど気になるチケットは早めに購入しよう。
For Japan Canada Today and VIFF

