Tokyo

Director Tatsushi Omori

~人の心に触れる映画を撮り続けたい~
まほろ駅前狂騒曲の大森立嗣監督
大森立嗣監督の映画はカナダをはじめ世界各地の国際映画祭に招待されている。今年のバンクーバー国際映画祭では『まほろ駅前狂騒曲』が初日から満場となった。これまで日本の下町を舞台に繰り広げられるコメディーはカルチャーの違いから理解されるのは難しいとされていた。 しかし、テンポの速いアクションとユーモアにカナダの観客は大いに笑っていた。今作の製作プロダクション、株式会社リトル・モアで次の作品を準備中の大森監督に話を聞いた。

Director Omori and Actor Eita ©2014 Little More

コメディーとシリアスを共有する作品

大森作品といえば、日本映画プロフェッショナル大賞の作品賞や、ブルーリボン大賞の監督賞を受賞した映画、『ぼっちゃん』があげられる。これは秋葉原の交差点で通行人を車ではねるという無差別殺傷事件の犯人を描いた作品である。監督は当初この映画をどうやって撮っていいのか自分でもわからなかったという。単に殺人事件の犯人の話だけだと撮りたくないという気持ちもあった。考えた上で脚本の中に、ある程度のコメディー要素を盛り込んで制作したそうだ。この映画は決して刺激感だけの映画でなく、「ブサイクは何をしても許されないけど、イケメンなら許される」、「私はもてたい。人を愛したい」など鑑賞後考えさせられるセリフやシーンが盛りだくさんの映画である。 去年のサスペンス映画『さよなら渓谷』もモスクワ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、また国内で『ぼっちゃん』とダブルでブルーリボン賞の監督賞を受賞した人気作品。バンクーバー国際映画祭でもメディア用の特別推薦上映の中に選ばれ、関係者からも絶賛された作品である。主人公は少女期に起こった集団レイプという重い過去を背負っている。しかしこの映画では、若い新人女優をいじめるような不必要な性的描写がない。カメラのアングルや音声で恐怖や悲しみを十分感じ取れるので、女性も納得して不快感なく観られる作品だ。主演の真木よう子さんはとても演技力のある大人の女優であるが、最近はそんな大人の女性、男性を描く映画が少ないと監督は語る。

Director Omori ©2014 Little More

真剣にカメラを見つめる大森監督(写真提供 株式会社リトル•モア)

心から笑える「まほろ駅前狂騒曲」

そして今年の最新作『まほろ駅前狂騒曲』は、監督の6本目の映画である。バンクーバー国際映画祭のプログラム・ディレクターのアラン・フレーニー氏はオープニングで日本映画の紹介としてこの映画の名を上げ、「とてもフレンドリーで観る人を大いに喜ばせてくれる作品」と推薦した。観客を驚かせたのは上映前のビデオメッセージ。大森監督は昨年の映画祭からずっとバンクーバーへ行きたかったという。今回も日本での公開と重なりスケジュールが合わなかった。そこでこれまでにバンクーバーで例のない、日本から特別ビデオメッセージが届けられた。大きなスクリーンに映る監督が「バンクーバーへ行けなくてとても残念に思っている。でもぜひこの映画をエンジョイしてほしい」と話し、観客は大きな拍手をした。それだけ観客に語りかけることを大事にしている。

この映画が観客に喜ばれた理由は一言で語れないが、まず画像だけで十分笑えたのが大きい。特にアクションシーンは俳優たちを見ているだけで楽しく、字幕に頼る必要性がなかった。たとえ吹き替えがあってもオリジナルで観たいとカナダ人に思わせる強さもあった。この作品では監督も主役の2人をずっと見ていたいという気持ちにさせられたそうだ。自分でもう一度観たいと思えるような映画は狙って作れるものではないので、自分の心の奥底にあるものがこの映画に出てきたという感じがした。しかしそれは芸術的に見ると自己満足のおもしろくない映画になっているのではないかと恐れたことでもある。「これは映画監督をやっていて一番怖いことだ」と監督は語る。

また、『まほろ駅前狂騒曲』は前作の『まほろ駅前多田便利軒』と同様、登場人物が非常にユニークだ。これまでにヤクザ、売春婦、レズビアン、人工受精の子ども、町内会の老人、新興宗教のグルなど、タブーでかかわりたくない人物や、社会的に疎外された居場所のない人たちをごく自然に、むしろポジティブに登場させている。 「本物志向」の英国の映画評論家トニー・レインズ氏はこの点を「日本でレズビアンが人工受精で作った子どもを普通に育てている姿など見たことがない」と特に評価した。またレインズ氏によると「これは『誰かに気を使っている』映画でない」と感じさせたそうだ。数多い映画の中には、監督がスポンサーや特定の俳優に気を遣った演出で映画の雰囲気を潰すことがある。今回はそういう無駄なシーンがなく、新鮮で監督や一人一人の俳優が喜んで作った作品のように感じさせた。これも大きな特徴である。

バスジャック、特に殺されても死なない場面など、バンクーバーの劇場で大いにうけた名場面だが、監督は出刃包丁を振りかざす老人たち、子どもたち、新興宗教のグル、ヤクザと主人公というめちゃくちゃな同乗者でどこに行き着くのだろうと思わせるのが好きだったという。しかし意外にも日本ではあのシーンが嫌いな人もいた。監督はそういう批判的な声にも耳を傾けている。

Director Omori in action ©2014 Little More

「作品」が「ルール」を作る

多くのファンは大森作品には独特の雰囲気があると語り、「まほろ駅前」映画を「寅さん」のようなシリーズになることを期待している。俳優たちも大森映画にリピート出演していて、自然で生活感のあるロケーションや人の動きは、ファンはもちろん、ファンでなくてもついその中に引き込まれる。しかし監督は作品によってルールが一つ一つ違うのだと指摘する。決めつけてやると失敗すると思っているそうでこれから先も慎重のようだ。

大森監督は丁寧に言葉を選びながら、「映画制作ではいつも人の人生に触れたい、できるなら観た人の記憶に一生残るような映画を作りたい。映画にはそういう力があるので常にアプローチしながら作り続けたい」と語ってくれた。次作についてはまだ早すぎる段階だが、自分の中ではハードなものを考えている。ちなみに今書いている脚本は女の子が主人公でシリアスな作品のようだ。これからも観る人に優しく、大いに楽しめる作品をずっと撮り続けてほしい。

大森立嗣監督プロフィール 

1970年東京生まれ。

舞踏家で俳優の麿赤兒(まろあかじ)さんの長男で、弟は俳優の大森南朋(おおもりなお)さん。

大学時代8mm映画を制作し俳優として舞台、映画などに出演。自らプロデュースし、出演した『波』(奥原浩志監督)がロッテルダム映画祭最優秀アジア映画賞NETPACAwardを受賞。2005年『ゲルマニウムの夜』で監督デビューし、ロカルノ国際映画祭コンペティション部門、東京国際映画祭コンペティション部門など多くの映画祭に出品。2010年『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』で日本映画監督協会新人賞を受賞し、ベルリン国際映画祭フォーラム部門、香港国際映画祭などに正式出品。『まほろ駅前多田便利軒』は、キネマ旬報日本映画ベスト4位に入選。2013年、『さよなら渓谷』がモスクワ国際映画祭のコンペティション部門で審査員特別賞を受賞(日本映画では48年ぶり)と、ブルーリボン賞の監督賞を受賞。また2014年、日本プロフェッショナル映画大賞で『ぼっちゃん』が作品賞を受賞。バンクーバー国際映画祭では『さよなら渓谷』と『まほろ駅前狂騒曲』が2年連続選出、特別招待される。

DIrector Tatsushi Omori ©2014 maplepress.ca


Director Takeshi Kitano

北野武監督

Director Kitano ©2014 maplepress.ca

~日本映画界を真実で斬る!~
世界のキタノはFOREVER TRUE!

バンクーバーをはじめ世界の映画祭で知られている“世界のキタノ”こと北野武監督が、第27回東京国際映画祭で新設された第1回“SAMURAI(サムライ)賞を受賞した。しかし彼はレッドカーペットに登場しなかった。なぜ? 彼を追って10月25日、六本木アカデミーヒルズで開催されたトークイベントに向かった。

日本映画界に何が起こっているのか
今回のトークショーは今年新設された「SAMURAI賞」の受賞記念企画で、“日本映画の今と未来”がテーマ。「どうも、小渕優子です。賞? 経産省だっけ?」「漫才の賞と映画の賞、あと前科までもらっているのは俺くらい」と会場を笑わせながら登場した北野監督。数多い映画関係者の中でもひときわ芸術のオーラを放っている。
世界が意外に思うのは北野映画が米アカデミー賞(外国語部門)に推薦されたことがない事実。これは黒沢映画も同様だが、米アカデミー賞は日本アカデミー賞最優秀受賞者しかノミネートされないからだ。それなのに日本アカデミー賞は偏った大手映画製作会社を優先する。またそれらの会社は劇場とマスコミも抑えている。「大絶賛」「15分のスタンディングオベーション」などとありえない事実が作られる。今回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)と日本学生映画祭で賞を受賞した若い監督たちに「そういう汚いことをやっているから日本映画はダメになる。大手の映画会社に巻き込まれないように、巻き込まれるならだますように」と楽しくはっぱをかけた。
ゲストの「本物しか相手にしない」映画評論家トニー•レインズ氏が「大手が認めないなら自主映画でがんばってくれ。君たちは驚くだろうが素晴らしい映画作品は思うほどないから競争率は激しくない」と続けた。カンヌ映画祭代表補佐のクリスチャン•ジュンヌ氏も「世の中の変化と共に監督も、監督のメッセージも変わる。みなさんが本当に伝えたいメッセージを発信できることを願う」と語った。

スレスレで生きること
北野監督はさらに若手監督たちに、自分が描きたいもの以外も認める余裕が必要とアドバイスした。「僕はアニメなんか大嫌い。でも、あれだけお金を稼げるのはすごいと認める。嫌だと思うものも認められる余裕のある頭が必要だ」と指摘した。
また人気の漫画や小説の映画化が多いのは、客が入るからとコメント。「よくわからない台本にお金を払う勇気のある映画会社がない」と語り、「俺なんか暴力映画ばっかり撮っているけど、それは当たるから。『なんだこのやろう』なんて本当はちょっと嫌だと思っている」と本音も伝えた。また「人間はどうせ死ぬ。社会的に迷惑をかけずに、スレスレで生きることを無限に考えた方がいい」という彼らしい持論を展開した。
また「みんな真面目すぎるよね。映画に人生なんてかける必要ない。余裕を持って常に自分を客観的に見た方が追い詰められなくて良い」「日本で作品の悪口ばかり言われていた時に初めて評価してくれたのがトニーさん。誰がどこで見ているかわからないので好きな映画を撮り続けてほしい」と若手監督にエールも送った。
映画「戦場のメリークリスマス」から30年あまりカナダをはじめ世界で知られる北野武氏。今回は若手監督だけでなく、映画界、マスコミにとっても刺激的なトークショーとなった。レッドカーペット以外でこれだけ国内外の観客を喜ばせる「純粋さ」に圧倒された。

原宿KAWAIIカルチャーの増田セバスチャン監督にインタビュー

〜カラフルを未来につなぐ〜
2014年春、バンクーバーのさくらフェスティバルにかわいい少女たちが集まりファッションショーを演出した。「ロリータ」と紹介された時、彼女たちは「違う、『原宿』なの」と否定した。そもそも「原宿KAWAII」とは何なのか。今回六本木でそのカルチャーの火付け人、増田セバスチャン監督に話を聞いた。

Kawaii Store ©2014 6%DOKIDOKI
Kawaii Store ©2014 maplepress.ca

バンクーバーでの約束

増田監督は2011年にバンクーバーを訪れ「原宿KAWAII」文化をファッションの専門学校で説明したことがある。この独特なファッションを「原宿」と呼ぶ約束を、彼女たちは未だに守ってくれている、と監督は感激していた。彼自身もカラフルで俳優と間違われるぐらい目立つ方である。「昔から美術専門のアートディレクターで、裏方だと言っているのに結構表に出された。まあそれも経験かなと思って」と笑う。「海外では作品を自分で説明した方が効果があるので出るようにしているが、出たがりに見られるのも嫌だ」という、アーティストらしい悩みもある。

GIrls in Vancouver ©2014 maplepress.ca

「原宿KAWAII」が生まれるまで

歩行者天国になっていた原宿に1980年代、「竹の子族」というカラフルな衣装の若者たちが集まってきた。当時はインターネットがなく、他で着れない服を着て似たような人達に出会える唯一の場所が原宿だった。竹の子族が消えて90年代になっても自分らしさを演出する若者たちは後を絶たなかった。「6%DOKIDOKI」という監督のお店も「セバスチャン、こんなのが欲しい」「じゃこんなのはどう?」などのやりとりから徐々に生まれていったそうだ。当時ロリータという言葉は存在していたが、少しセクシーな過激ファッションだった。女の子たちが求めていたのは英語でいう「LOVELY」だった。それをもっと追求したのが「カワイイ」、そして「センセーショナルカワイイ」が生まれた。

カワイイ女の子たちは決して過激派でなく、自分を社会の枠から解放して自由を求めていた。アートディレクターである増田監督はそんなお店の常連だった、後のスター、きゃりーぱみゅぱみゅさん(日本の「カワイイ」文化の世界的アイコン)のデビュー時からの演出と美術演出を担当する。またレイディー・ガガさん、ケイティ・ペリーさんなど海外アーティストにも自称「原宿KAWAII」ファンがたくさんいる。

Harajuku ©2014 maplepress.ca

誰も見たことのない

Nutcracker ©2014 Manhattan People

そして今回監督の映画デビュー作となる「くるみ割り人形」だが、「原作」はサンリオの創立者である社長、メルヘン作家の辻信太郎さんが、35年前(1979年)に人形を少しづつ動かす手法で1日3秒ずつ、5年もの歳月をかけて製作した。増田監督のリメイクはこれに最先端のデジタル映像技術を加えてこれまでにない色彩で独特の「実写人形の世界」を仕上げたもの。大切にしていたくるみ割り人形をネズミの大群にさらわれた少女クララは、迷い込んだ人形の国で、くるみ割り人形に隠された悲しい秘密を知ることになるというストーリー。

Director Masuda and Actor ©2014 maplepress.ca
Director Masuda (right) ©2014 maplepress.ca

「この映画はぜひ3Dで観てください」と監督は薦める。迫力のあるハリウッド映画の逆をいくような発想で、日本人的な3D映画を作れないかと研究したそうだ。大きな世界でなくむしろ小さな世界を描きたかった。そして今回、まるで小さな箱の中に顔を突っ込んで見るような、新しい「日本的」感覚の3Dを実現させた。映画のワンシーンでカラフルな蝶々がきれいに揺れている。その細かい蝶々はアニメでなく実際に一個ずつ丁寧に手作りされていて、作り手の夢も込められているような作品だ。

また監督自身、映画「くるみ割り人形」には特別な思い入れがある。小学生の頃、このオリジナルの映画を地元のサンリオ劇場で観た。その時感動した映画に自分が新しく手を加える。増田監督は「すごくプレッシャーを感じました。先代の監督がものすごい時間をかけて作った大作なので。カラフルなルーツは原宿にあるのだと伝えながら現代の皆さんに見てもらい未来に接続できればと思います。時間を忘れて新しい3Dの人形の世界にどっぷりと浸って下さい」と語った。

当時大人になりきれなかったカワイイ少女も今は子どもと一緒に店を訪ねてくる。「原宿KAWAII」はすでにキティ、アキバ系アイドル、ゴシック、ロリータなどを総括し、さらに世界に羽ばたこうとしている。監督は「自分は世界を飛び回れないが地元の女の子たちはその土地で、また映画は全世界に飛んでメッセージを伝える大きな力を持つ」と語る。増田監督はこれからも「原宿KAWAII」のメッセージを全世界に向けて発信してくれそうだ。

増田セバスチャン監督 プロフィール

1970年生まれ。

演劇、現代美術の活動を経て、1995年にショップ「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン。2009〜11年に原宿文化を世界に発信するワールドツアー、「Harajuku “Kawaii” Experience」を開催しバンクーバーにも来加。現地の女の子とワークショップをしながら行うファッションショーと「原宿KAWAII」文化のトークショーを行う。また2011年に、きゃりーぱみゅぱみゅさんの「PONPONPON」ミュージックビデオの美術で世界的に注目を集める。今回初の映画監督作品「くるみ割り人形」がワールドプレミアとして東京国際映画祭で上映される。

DIrector Sebastian Masuda ©2014 maplepress.ca

東京国際映画祭ハイライト

東京国際映画祭では映画だけでなく、メディア用の記者会見、映画関係者のおもてなし行事、そしてファンのためのイベントも繰り広げられていた。その中よりハイライトとして、いくつか紹介させていただきたい。

*7年ぶりに復帰した女優、宮沢りえ

第27回東京国際映画祭コンペティション作品『紙の月』の記者会見が10月25日に六本木アカデミーヒルズで開催され、俳優の宮沢りえ、池松壮亮、そして吉田大八監督が出席した。7年ぶりの映画主演となった宮沢さんはキュートなピンク色のワンピースで登場。「10代の頃から映像活動をしてきて、30歳になった時、劇作家・野田秀樹さんの舞台で自分の無力さに驚いた。その時に、40歳になるまでには、ちゃんと舞台の上に立っていられる役者になっていたい、と決めた。休業中もいつも舞台に目を向けていたことでたくさんの発見があり、この7年間で得たものを映像の世界に返したい」と語った。

映画「バンクーバーの朝日」でホテルのポーター兼サード、フランク野島役を務めた池松壮亮さん。宮沢さんについては「1つの作品に、これだけ身も心も投げ出せる人を初めて見た」と感心していた。また吉田監督は「一か八かでオファーを出したらやっていただけるということで、この映画に自信を持った」と話した。

原作は角田光代さんの同名小説で、平凡な銀行勤めの主婦が年下の大学生との出会いを機に、巨額の横領事件を引き起こすサスペンス。宮沢さんは「とても大切に作った映画が注目されて嬉しい。素敵な監督と脚本があればどこへでも飛んでいきます」と海外進出も考えているようだ。これからも女優としてますます活躍していくことだろう。

Director Yoshida (right) and Actors©2014 maplepress.ca
Actress Rie Miyazawa ©2014 maplepress.ca

*華麗な歌舞伎俳優、市川染五郎

10月27日、日本の伝統芸能の発信地である歌舞伎座にて「歌舞伎座スペシャルナイト」と題した目玉イベントが開催された。これは世界各国から集まった映画人たちに、歌舞伎の魅力を一夜で伝えようというおもてなし行事。その一環で染五郎さんは約15分間『石橋(しゃっきょう)』という歌舞伎舞踊を披露した。

開場と同時に着物姿の女性や映画関係者が続々と来場し、幕が上がると神秘的な舞台が目の前に広がった。文殊菩薩の霊地である天竺清涼山にかかる石橋(しゃっきょう)に、霊獣の獅子が現れその奇瑞を見せるという伝説をもとにした舞踊。今回上演された「石橋」は、獅子の精の狂(くる)いを中心に構成された歌舞伎舞踊で、勇壮な獅子の精の毛振りと、長唄と囃子連中の渾然一体とした演奏が観客の目をくぎづけにした。

休憩後は染五郎さんが歌舞伎メークなしで登場。「石橋」を選んだ理由として「今回は皆さんのイメージする歌舞伎をお見せするのが一番と思い、隈取、歌舞伎音楽、見得などを取り入れた舞踊、しかも最後は雪を降らせた中での毛振りという、歌舞伎独特の様式美もお見せできるので」と話した。何度も繰り返された毛振りだが、首だけ振っているのではなく、「下半身を使って全身で振ることによって、毛先まできれいに振れます。最後に息の上がった顔はお見せできないので、そこを我慢するのが大変です」と語った。

「通い慣れた歌舞伎座ですが、今日は景色が違って見えました。その違和感がうれしくて興奮しました」と国際的に日本文化をアピールする歌舞伎役者らしさを感じさせた。

Kabuki ©2014 Shochiku Co. 松竹株式会社
Mr. Somegoro Ichikawa ©2014 TIFF and Shochiku Co.

*日本で社会現象化しているアニメ、「進撃の巨人」

東京国際映画祭のレッドカーペットでひときわ歓声の上がったアニメ声優、梶裕貴さん。彼が主演する特別招待作品『劇場版「進撃の巨人」前編〜紅蓮の弓矢』の舞台挨拶が31日、TOHO シネマズ六本木ヒルズで行われた。

今や美術館でも新たな集客イベントとして開かれる「進撃の巨人」はもともと「別冊少年マガジン」で連載中のファンタジーバトル漫画。日本を含む世界12カ国でコミック単行本4000万部を突破した。今回はすでにTVアニメ化された話をさらに映画として劇場版2部作に再編集した前編。来年は後編の他に映画実写版も予定されている。

ストーリー:巨人が全てを支配する世界で人間は餌と化された。高さ50メートルの巨大な壁を築き、自由と引き換えに平和を保つ人間たち。10歳の少年エレンは密かに外の世界を夢見ていた。しかしある日壁を越える超大型巨人が出現する。人類が絶滅の危機に立たされ少年エレンもやがて兵士となり、巨人たちと戦闘を繰り広げる。

もともと映画好きの原作者、諫山創さんは「漫画4巻分で1本の映画という、自分が考えたとおりの構成でありがたい。ぼくも今日初めて観ます」「自分が自分の漫画に思うことは、不器用で絵もひどい、特に第一巻はいまだに見れない」と語った。荒木哲郎監督は「漫画に映画としての構造があったので、確実にうまくいくと感じた。これは良いものですよ!」と仕上がりに満足している。最後は全員で、本作に出てくる「心臓を捧げよ!」のポーズを決めていた。今後カナダ進出も大いに期待できそうだ。

Giant, Voice Actor Mr. Yuuki Kaji and Producer Mr. Knoshita ©2014 maplepress.ca
Director and the team ©2014 maplepress.ca

左から講談社の川窪慎太郎さん、原作の諫山創さん、荒木哲郎監督、音楽担当の澤野弘之さん、木下プロデューサー

東京国際映画祭、その他のイベント

東京ドラマアワード2014で、「星から来たあなた」(My Love From the Star)が海外作品特別賞を受賞し、主演のキム・スヒョンさんも「Best Actor in Asia」を受賞した。中高年女性ファンやメディアに深くお辞儀をして声援に応えていた。

Korea’s top actor Mr. Kim Soo-hyun ©2014 maplepress.ca

  日本での初個展となる「ティム・バートンの世界」オープニングイベントで、大好きなウルトラ怪獣に囲まれてご機嫌なティム・バートン監督とジョニー・デップに扮したお笑いコンビ、ピース。東京モード学園の奇抜なファッションショーも来場者を喜ばせた。

DIrector Tim Burton ©2014 maplepress.ca

11月1日で40歳の誕生日を迎えるハローキティ。その記念にサンリオ人形映画「くるみ割り人形」がリメイクされ、記念イベントに増田セバスチャン監督(右端)、声優を務めた有村架純、松坂桃李、市村正親、藤井隆、板野友美、安蘭けいが参加した。大人気のキティはミニーより愛想が良く(?)ファンサービスに徹していた。

Hello Kitty ©2014 maplepress.ca
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