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鳥から見える人間の姿
カラスを嫌いな人は多いと思う。真っ黒で可愛くない上に、日本では昔からゴミを荒らす不吉な鳥として知られている。
5月中旬マンションに引っ越して、上から木を下に見るとカラスが巣を作って守っているのが見えた。彼らは虫を運んで交代しながらせっせと働いていた。
同時に白い大きなかもめたちがとなりの高級マンションの上にたむろしていると気がついた。その場所は彼ら特権の場所みたいで、時にカナダグースが止まると追いかけて上から突いてまで退散させていた。
カナダグースは大きな声で鳴くので気の毒に思って窓をノックしてやめさせたかった(何も変わらないけど)。彼らこそもっと近くで見たい鳥なので非常に残念に思っていた。
そんなある日、1匹のかもめが小鳥を口ばしにくわえ急いで飛んできて、高級マンションの屋上に行った。あーあ、どこかで親の不在中に巣から小鳥を取ったのだと思って後は見なかった。
翌日の早朝、何気なく外を見たら一匹のカラスが同じ高級マンションの屋上に止まった。いつものかもめたちはいなかった。エサの残りものを探しているのかなと思ったら、何もしないでしばらくして飛んで行った。その瞬間、もしかして昨日の自分の小鳥を探しにきたのではと思った。
そういえば去年、ノースバンクーバーのある釣り橋付近で、母アヒルが五匹の子アヒルを連れて川を渡っていた。可愛いから思わず見惚れていたら、私の後ろからいきなりボールドイーグル(鷹)が現れた。母アヒルは大きな悲鳴をあげて抵抗したが、大きなイーグルは巡回して一瞬のうちに子アヒルを一匹つかんで飛んで行った。
母アヒルはきゃーきゃーと鳴いてその場をグルグル回っていた。残された4匹のアヒルたちは泣く母の前でじーっとしていた。私もショックでそこから動けなかった。かなりの時間あきらめられずに大きな声で泣き続ける母アヒルの姿がとても悲しかった。
ただのエコシステム。強者が獲物を取るのは当たり前で、あの鷹だってたまに人間に狩られるのだと頭で知っていても何かやるせない。母アヒルは残りの4匹を守ろうとするのでなく、取られた1匹の子アヒルで頭がいっぱいだったのか。父アヒルを呼んでいたのか。その姿はまるで人間の母親みたいだった。そしてじっとしている4匹の子アヒルもその母アヒルの光景から、人間だったらサバイバートラウマになるだろう。鳥にも感情がかなりあるように思えた。
「Modern Goose」という映画は、カナダのウィニペグ州出身のKarsten Wall監督がカナダグースを7ヶ月かけて撮影したショートドキュメンタリー。カナダグースは昔はなかなか近くで見れなかったけれど、今は自然が壊されて住宅、公園、お墓、ゴミ捨て場、高速道路など変わった場所で見かける。渡り鳥だから自分たちの住む場所が変わってもまた来ていたのが印象的だった。
住む場所がなくなったせいなのか、最近まである鳩が、映画館地下のパーキングで巣を作って小鳥を育てていた。他の敵がいないから小鳥は育ったが、大きくなった小鳥たちは飛ぶ事を知らない。地面に降りてじっとしているので車で通るたびに危ないと避けていた。だが先週映画を見た帰り、誰かが駐車場をフルスピードで走ったようで、鳩の死骸があちらこちらに飛び散っていた。おそらく他の映画ファンやセキュリティの人たちもがっかりしただろう。
こういうふうに鳥たちを見ていると私たち人間の姿がいつも見える。現代社会を生きる鳥たちにとって最大の敵はやはり人間なのだ。生活を便利にするために、街を大きくするためにどれだけの自然と生物を犠牲にしてきたのだろう。映画監督の言葉通り、私たち一人一人がその美しい動物の生命に気がついて感謝と同時に共有する事をもっと考えたい。

