NYFF61
映画『Ryuichi Sakamoto OPUS』

©2023 Maple Press Canada
New Yorkで映画祭が始まる前から話題になっていた作品。
以前からショートフィルムを撮っていた空音央監督の父親は作曲やピアノで世界的に有名な音楽家プロデューサー坂本龍一氏。晩年に数時間続けてピアノを弾く体力のなかった彼がコンサートをしたがっていた事から、空監督は初めての長編映画を手がけることになった。1日3、4時間演奏して8日間の撮影。音楽だけを用意した坂本氏も、息子から映画のビジュアルテーマやライティングを相談され、トラックの順番を急きょアレンジしていた。

©2023 Maple Press Canada
坂本氏はピアノの前に座ると急にエネルギーいっぱいの元気になったそうだ。撮影場所がインターネット禁止だった為、ワイヤーを繋いで撮影すると変な音も入ったし、ピアノを弾く父の様々な表情、特に異次元に迷い込んだような顔や苦しそうな顔など見て面白いと思ったそうだ。父は編集した全てのカットを見てサインしたといたずらっぽく笑った。
『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』など数々のシネマ音楽の名作を残した坂本氏。空監督は映画のシーンを見ながら音楽を作っていた父の姿を覚えているが、曲を聞くとシネマにこれはしてはいけない、シーンを壊すような作曲もやっていたと感じることもあるそうだ。
「音楽がしゃべる」という父譲りの考え方を受け継いだ空監督は、言葉やナレーションなしで感情やコミュニケーションを映像から与えようとする。ふとした時に見せる表情もやはり父親譲り。これからがとても楽しみな監督だ。

©2023 Maple Press Canada

