“Dune” Production Designer
パトリス•ヴェルメッテさん


映画『Dune』でプロダクション•デザイナーを務めたパトリス•ヴェルメッテさんはモントリオール出身のカナダ人。これまでに『Arrival』などでオスカー賞のノミネーションを2回受けている。
自分の人生で一番大きな衝撃を受けたのは1977年の『スターウォーズ』だった、と振り返るパトリスさん。それから実家の地下が彼の『おもちゃの世界』になったという。「なにせモントリオールのいなかだから他にすることがなかった」と笑うパトリスさん。コンコルディア大学ではコミュニケーションを専攻。ミュージックビデオからコマーシャルも作るようになった。そしてふと製作した一本の映画が成功した。
彼はとにかく本が好き。物を作る前に本を読んで、文章と自分の目からヒントを得るそうだ。「どうやってこの本通りのものをつくれるか」と考え、ときには歴史の中から悪者を探してブレンドさせる。自然、城などいろいろな物をミックスさせる。日本の皇居や松や苔なども参考にした。彼の作った「カラタン」パラスの中に日本があると教えてくれた。
この映画を撮る前に7ヶ月間森の中にいた。単にセットのイメージを作るためで、監督も承諾したという。「俳優に現実感を与えないなければならない」と真剣に話す彼は、一度セットに入ると毛が抜ける、眠れなくなるなどかなりの激務を経験する。
映画『Dune』では24−30フィートの高さの壮大なセットを作った。このサンドスクリーンをどう撮影に使うかかなり考えた。日光と影にこだわる彼は、撮影は10時45分から11時20分の太陽、という細かいリクエストを提出した。だが再度撮影に失敗し、3回目でやっと成功したそうだ。美術が大事で、細かく正確に色をペイントする。また色だけでなく、形、匂いにこだわった。砂、ほこり、ミスト、影など扇風機やライティングなどメカニカルを使って100%に仕上げた。時にバジェット(経費)をカットされることがある。今回は天井に布を張った。目に見えない空間など、「もうやってみるしかなかった」と奮闘した。終わった後で「もう布はもうやめよう」と監督と大笑いしたエピソードもある。
また彼は映画の音楽にこだわる。ビートとリズム、ベースなど音楽が全てにつながっているという。そして監督と一緒に単なる映画のリメイクでなく、ティーンエイジャーの頃の思い出を元に、自分たちの目から映画を作っていくことを心がけたそうだ。
最後にこの映画撮影について聞くと、「これはコンセプト•アートだと思う」と笑顔で締めくくってくれた。パトリスさんの次回作も今から楽しみだ。


