
Moving On (Nam-mae-wui Yeo-reum-bam)
やっぱり家族は必要
今年、釜山とロッテルダム国際映画祭で新人賞などを受賞した作品。両親が離婚してオクジュと弟のドンジュは父親、叔母、そして祖父と一緒に住むことになった。祖父の古い家は彼女にとって決して心地の良い場所ではない。初恋の彼とのコミュニケーション、母親への怒り、そしていままで知らなかった祖父への接し方など、悩みを抱え込む少女の姿をカメラが追う。小津映画のように監督の優しさが映画の隅々にいきわたっていて、いつの間にか全く関係のない家族の一員になってしまうようなカメラワーク。最後の場面が特に印象的。
監督: Yoon Dan-bi 2019、105分
Dancing Mary ダンシング•マリー

幽霊の願いを叶えてあげたい
ベルリンなど多数の国際映画祭で活躍しているSABU監督の最新作で、主演はEXILEのNAOTO。新しい開発土地に古くから幽霊が出ると噂されているダンスホールがあった。即処置を命じられた公務員の藤本研二(EXILEのNAOTO)は、霊能力のある高校生の雪子(山田愛奈)に除霊をお願いするが…。アクション、ロマンス、そしてジャズ音楽と揃ったSABU監督の、人間味ある映画にほろっとさせられる。俳優•石橋凌のヤクザ役はカッコ良くて必見。
監督:SABU 2019、 105分
A Life Turned Upside Down: My Dad’s an Alcoholic 酔うと化け物になる父がつらい

家族の愛と家庭問題を問う映画
実際にアルコールにおぼれる父を持った作者によるコミックエッセイの実写映画版。普段はおとなしいがお酒を飲むと人格の変わる父、田所トシフミ(渋川清彦)と新教宗教信者の母を持つサキ(松本穂香)は、小さい頃から自分の心を閉ざしながら生きてきた。漫画家を目指すサキは初めてのボーイフレンドから虐待を受け、全てにおいて父に冷たくあたる。だがある日、その父が病気になり人生を見直す…。俳優の渋川がどうしようもなく憎めない父親を好演している。
監督:片桐健滋 2019年、95分
The Town of Headcounts 人数の町

何もしないで生きるということ
毎日がつまらなく人生に嫌気をさしていた若者•蒼山哲也(中村倫也)が、簡単な作業と引き換えに衣食住が保証され、女性との交際も簡単に満たされるというミステリアスな世界へと誘われる。だがその『町』は心の冷たい住民にあふれ、決して離れることのできない奇妙な場所だった。共演に石橋静香と立花恵理。脚本も書いてこの映画が初の長編作となる荒木監督は、人間がどんどん『人数』になっていることが怖いと訴える。
監督:荒木伸二 2020年、111分

