スタジオジブリ Studio Ghibli

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Studio Ghibli ©2015 Anima

Anima 2015: 誰も知らないスタジオジブリの世界

~誠実な親方、女房、職人時代は終わるのか~

スタジオジブリを見学したい。そんなファンのために作られたドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』がベルギーのアニマ国際映画祭2015に出品された。撮影時はジブリの二人の巨匠•高畑勲監督と宮崎駿監督がそれぞれ鈴木敏夫プロデューサーと『かぐや姫の物語』『風立ちぬ』を作成中だったという、映画史上に貴重な映像である。『エンディングノート』でデビューした砂田麻美監督は、約一年間ほとんど毎日、気配を感じさせない「忍者」になりながら撮影をしたそうだ。

作るのでなく、映画に作らされている毎日

スタジオジブリは男性3人のリーダー(宮崎監督、高畑監督、鈴木プロデューサー)と彼らを支えている社員(女性も多い)がいる。宮崎監督が「町工場のオヤジ」と自分を評したとおり、親方が女房に助けられながら職人を率先し、毎日同じことを繰り返して一つの作品を完成させるようなスタジオである。「映画に作らされている」というように最後までストーリーの展開を誰も知らない。社員もそれを誇りに感じながら働き、毎日ラジオ体操したり屋上へ上がって夕焼けを見る習慣がある。スタジオの周りは緑いっぱいの木が茂っていてとても素敵な仕事場だとも思わせる。しかし何十年も手作業でアニメ制作をしたり、公開をおくらせてでも作品を完璧にする姿や、先の時代を読む姿など夢と同じぐらいの執着心の強さも伺える。

宮崎駿監督について

映画のほぼ主人公ともいえる宮崎監督はとてもチャーミングで、人間的かつ年齢を感じさせない。少年っぽく飛行機の話を無邪気にした後、映画製作では猫も近づけないぐらい仕事に没頭する昭和男だった。日曜を除き毎日11時から9時まで、正月やクリスマスもなく、誰よりも仕事をしていた。『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』など数々の名作を生み出した宮崎監督の「自分の意思が筋肉だ」という姿は見ていておもしろい。

同時に監督は映画の中で「もうおしまい」「無理」というような言葉を吐いている。砂田監督は以前トロント国際映画祭で「スタジオジブリは小さなスタジオだが、目に見えない世の中の動きにいつも耳を澄ませている」と話した。実在した「零戦」の設計士、堀越二郎さんを通して生きることの大切さを描いた「『風立ちぬ』の撮影が進むにつれ、クリエイター達は表現の自由が窮屈な状況になっていると感じていた」とも語った。宮崎監督は「人生の目的は自分を幸せにする事か、それとも生きているもの一人一人を幸せにする事か、どう思う?」とカメラに向けて問いかける。

主演声優は『新世紀エヴァンゲリオン』や『キューティーハニー』を生み出した庵野秀明監督。上映中ベルギー人が笑った二人の関係は見所だ。「セリフはそんなにないからやれ」と言われた庵野監督は歌や、フランス語、ドイツ語のセリフがある事を知らなかった。「あいつはいじめがいがあるよね」とにっこり笑う宮崎監督に対し、セリフを一生懸命繰り返す庵野監督は「アニメと飛行機は作るものは違うが、夢を形にすることは同じ」と後で語っていた。画像にはないが、主題歌『ひこうき雲』の荒井由美さんも「鳥肌が立った。このために40年間やってきたのかな」と鈴木プロデューサー提案の運命的なコラボレーションを承諾したそうだ。近年自由に表現するクリエイティブなアーティストが減ってきている。この時代に生きてスタジオジブリの世界を十分に楽しめたことはラッキーなことだといえるだろう。

映画の上映会では堀越二郎さんの長男•雅郎さんだけでなく、監督自身も自分の映画で初めて涙した。引退の記者会見の席で「あと10年は映画を作りたい」というメモを握っていた宮崎監督。独•金熊賞、米•アカデミー長編アニメ賞など国際映画祭のタイトルだけでなく、常に世界各地の一般人に作品を求められている監督に「ご苦労様」の言葉はまだ早すぎるような気がした。

レジェンダリー」なジブリの作品

アニマ国際映画祭は日本人監督への評価が高い映画祭でもある。今年はスタジオジブリから米林宏昌監督の感動作『思い出のマーニー』(When Marnie Was There)、今月アカデミー賞にノミネートされた高畑勲監督の『かぐや姫の物語』、またスタジオジブリを密着した砂田麻美監督のドキュメンタリー『夢と狂気の王国』が大好評だった。ジブリのDVDや本を求める人が多く、最終日前に全て完売していた。

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