鈴木洋平 Yohei Suzuki

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Director Yohei Suzuki © 2014 maplepress.ca

鈴木洋平監督

~観客も止まらせた映画「丸」~
不思議な監督のデビュー作

インディー(自主)映画は何が飛び出すかわからない。今回鈴木洋平監督のデビュー作「丸」も前半はストーリーに引き込まれ、場内に笑い声が聞こえた。しかし。。。最後はびっくり、何がなんだかわからない。「え?」 観客が一瞬止まった。止まりながら、周りの人と目を合わせてあわてて拍手をする。そしてQ&A。質問したくても何を聞いていいかわからない。そのうち時間がきて鈴木監督が帰ろうとする。「ちょっと待ってくれ。こんなはずではない」というような観客が監督の後を追う。あっという間に監督は丸くとり囲まれた。一体何が起こったのだろう?

「止まったでしょ?」 鈴木監督がにやりと笑う。自主映画の監督というよりミュージシャン風な監督。横からプロデューサーの今村左悶さんが「監督もよく止まるんですよ。道に何か落ちていたら『あ?』とか言ってしばらく止まったままです」と笑わせてくれる。そしてカナダの観客がびっくりして「オー」と言う声を出した時、監督は「やったー、と思いました。日本では『オー』ではないので」と多少興奮気味だった。

常に「考える人」

鈴木監督は常にいろいろと考えている。主人公も「考える呪い」みたいなものにかかってずっと考えているそうだ。何が言いたいかわからないけど言いたい事がある。言った本人が何かを言った気になれば、また言われた相手が何かを言われた気になればそれで良いじゃないかという。そして言葉、特にだじゃれも好きだ。

また監督は物事の流れにもすごく敏感である。インタビューに対応している瞬間も、「あれ、俺今バンクーバーにいる。なぜ?どんな流れでここまで来たんだ?」などとふと考える。でも理由がわからない。何か理由があるはずなのに今わからない。「そんな偶然が世の中にはいっぱいあるのになかなか物語にできない、これは非常に難しい」と語る。また凄く盛り上がったジョークも映画にしようとするとおもしろくなかったりする。これをどうしたら良いのか。考える事がたくさんありすぎる。

「そもそも自分はおよびでない存在なので」とまだ「マイナー的な新人監督」という意識を持っている。「およびでないのに御託ならべて、はいさようなら」という植木等さんのジョークを言った後、「およびでない」自分を自覚しているからこそ逆に何でもできる。またそれを楽しんでくれる人がいたらラッキーという気持ちで映画を作っているそうだ。

今回の「丸」は撮影が6日間で、トータル約1ヶ月半という超スピードで完成したにもかかわらず、「傑作」なデビュー作として注目を集めた。監督は他にも20本ぐらいの企画をあたためているそうだ。しかもシナリオの段階に入っているのが3、4本ある。 次作は笑えて怖い、また歴史的な裏打ちもある『ゾンビ』で、考えただけでも楽しくなる。 企画の話になるとまた止まって考え出す監督。その姿はやはりインディー監督そのものだった。

~丸 Ow~

日本、89分

監督: 鈴木洋平

キャスト: 飯田芳、金子紗里、李勝利、池田将

頭にこびりつく「丸」体験しよう!

球体が突然現れ、見た人が静止する映画。ある日鈴木家が静止する。駆けつけた警官も静止する。そして事件が発生。。。 映画評論家のトニー・レインズ氏が「自主映画の傑作」と褒めた鈴木監督のデビュー作。日本社会が停滞しているのを皮肉っているのか、それとも全世界に不思議なメッセージを送っているのか、そもそも丸とは一体何なのか。今年のVIFF最優秀新人監督賞にノミネートされた監督は既に海外にファンを持っている。次の作品も大いに期待したい。

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