世界が憧れた日本の家族
小津安二郎監督

世界の映画監督が最も尊敬する日本人監督の中に必ず名前のあがる小津監督。彼の映画は総計 54本、1920年代の無声映画からトーキー、白黒からカラー映画へと 40年余りの世代にわたる。ロー・ポジション(低い視点)からカメラを固定した撮影技法は小津調と称され、日本や世界の映画監督に大きな影響を与えた。家族の在り方や葛藤をテーマにした日本の人情作品がほとんどだが、今でも国境を超えて多くのファンを魅了している。誰もが彼の映像に自分を発見し、人生を重ね合わせて共感する。小津監督は 20世紀のシネマを代表するアーティストの一人で、彼の映す家族の絆はファンならずとも必見である。
「明治の男は泣かない」と語った笠智衆は小津映画の生んだ映画の中の父であり、またおじいさんである。

晩春 Late Spring
1949年/107分/白黒 出演: 笠智衆、原節子、杉村春子、月岡夢路、宇佐見淳
大学教授周吉は、早くに妻を亡くし娘の紀子と二人で暮らしている。父のことが心配な紀子は、なかなか結婚する気持ちになれない。そこで周吉は自分に再婚話が出ていると偽り、紀子に結婚を決意させようとする。父と離れたくないと悲しむ娘に、誰よりも愛する娘だからこそ孤独を選ぶ父親。小津調代表作、監督自身のお気に入りで世界評論家絶賛の感動作。
お茶漬の味 The Flavour of Green Tea Over Rice
1952年/115分/白黒 出演:佐分利信、小暮実千代、鶴田浩二、笠智衆、望月優子
子のない中年夫婦の幸せとは何なのか。お嬢様育ちの妙子にとって、夫茂吉は田舎者で野暮な男にしか見えない。ある時口論をして怒った妙子は黙って家を出るが、その間茂吉に海外赴任が決まる。初めて寂しさを感じた妙子は、茂吉と一緒に深夜お茶漬けを食べる。目立たないコメディーとして人気のある作品。
麦秋 Early Summer
1951年/135分/白黒 出演:原節子、菅井一郎、東山千栄子、笠智衆、淡島千景
28歳になっても嫁に行かない間宮家の“売れ残り”の紀子は、上司の佐竹から縁談を持ちかけられていた。ある日紀子は幼なじみの矢部の母から、矢部の再婚相手にほしいと言われ承諾する。間宮家は佐竹からの縁談のほうがいいと反対するが、紀子の決心は変わらず…。
ひとり息子 The Only Son
1936年/87分/白黒 出演:日守新一、飯田蝶子、笠智衆、坪内美子,葉山正雄
小津監督初めてのトーキー作品。つねは息子の良介と二人暮らし。つねは頭のいい良介の成功だけを夢見て毎日紡績工場で働く。やがて良介は東京へ行き、12年の月日が流れた。つねは良介を訪ねるが、良介は既に結婚して子供がいた。小津監督初めてのトーキー作品。つねは息子の良介と二人暮らし。つねは頭のいい良介の成功だけを夢見て毎日紡績工場で働く。やがて良介は東京へ行き、12年の月日が流れた。つねは良介を訪ねるが、良介は既に結婚して子供がいた。
長屋紳士録 The Record of a Tenement Gentleman
1947年/72分/白黒 出演:笠智衆、飯田蝶子、坂本武、青木放屁、河村黎吉
戦争から帰還した小津監督の再起第一作目。東京の長屋街に孤児の幸平が連れてこられ、金物屋のおたねが引き取ることになる。最初は面倒がるが、だんだん幸平に愛情が湧いてくる。 豊かではないが楽しい生活の中、おたねは幸平を自分の子として育てようと決心する。しかし幸平の父と名乗る男が息子を捜しにやって来る。ほのぼのとした人情とユーモアあふれる作品。
風の中の牝鶏 A Hen in the WInd
1948年 /84分 /白黒 出演:田中絹代、佐野周二、笠智衆、村田知英子
雨宮時子の夫修一は戦争から帰還していない。自分の着物を売って貧しい生活をしていたが、ある日一人息子の浩が高熱を出してしまう。お金に困った時子は暖味宿で一晩売春をする。しかし4年ぶりに修一が帰って来た。夫に隠し立てのできない時子は全てを打ち明けるが…
東京物語 Tokyo Story
1953年 /135分 /白黒 出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、山村聡、杉村春子
小津調の最高作品で、シネマのミラクルと称され、世界の歴代映画作品のトップに必ず位置づけられる名作。平山周吉と妻とみは広島から東京に住む子供達を訪ねる。しかし実の子供達からは相手にされず、唯一戦死した次男の嫁の紀子だけが心からもてなしてくれる。故郷にもどって数日後とみが息を引き取り子供達が集まるが…映画評論家トニー・レインズは「小津の視点は強く心に響く。奥が深く西洋の映画に比類がない」と絶賛した。
秋日和 Late Autumn
1960年 /128分 /白黒 出演:原節子、司葉子、笠智衆、岡田茉莉子、佐田啓二
『晩春』の父娘を母娘に置き換えた作品。三輪秋子の亡夫の七回忌に夫の友人3人が集まった。娘アヤ子が母を残して結婚できないので友人たちは先に秋子を再婚させようと考えた。母が父の友人と再婚するものと勘違いしたアヤ子は憤慨する。
父ありき There Was a Father
1942年 /94分 /白黒 出演:笠智衆、佐野周二、水戸光子、坂本武、佐分利信
中学教師をしている堀川周平は小学生の息子良平と二人で暮らしている。ある日、周平は教え子の一人を事故で亡くしてしまい、責任を感じて辞職する。まもなく良平が中学に入ると収入のため東京へ出稼ぎに行く。
彼岸花 Equinox Flower
1958年 /118分 /カラー 出演:山本富士子、田中絹代、佐分利信、有馬稲子、佐田啓二
小津監督初めてのカラー作品。平山渉の会社に谷口という青年が訪ねてきた。娘節子との結婚を認めてほしいと言う。自分が何も知らなかったことに腹を立てた平山は断じて結婚を認めない。しかし自分の同僚の娘や姪に物分りの良いアドバイスをしたため、節子の結婚も認めざるを得なくなってしまう。
早春 Early Spring
1956年 /145分 /白黒 出演:池辺良、淡島千景、岸恵子、笠智衆、加東大介
子のない杉山正二と妻昌子は倦怠期を迎えていた。正二は電車通勤する仲間たちと江ノ島へ遊びに行き、その中の女性キンギョと一夜を過ごす。浮気がばれて昌子が家から出て行き、仕事場でも冷ややかな目で見られる。そして正二は岡山へ転勤となる。単身赴任して寂しく暮らすある日昌子がやって来た。
東京暮色 Tokyo Twilight
1957年 /141分 /白黒 出演:原節子、有馬稲子、笠智衆、山田五十鈴
杉山周吉は男手一つで二人の娘を育ててきた。姉の孝子が夫との折り合いが悪く幼い娘を連れて出戻ってくる。妹の昭子は大学を出たばかりだか、恋人の木村の子供をみごもってしまう。
お早よう Good Morning
1959年 /94分 /カラー 出演:笠智衆、三宅邦子、久我美子、佐田啓二
林啓太郎と民子には小学生と中学生の息子がいる。大相撲が始まると子供達はテレビのある家へ行って勉強をしない。民子は子供をしかるが、「それならテレビを買ってくれ」と反発される。つい「黙っていろ」と啓太郎が怒鳴ったので、子供達は誰とも口を利かなくなった。そんなある日子供達がいなくなり大騒動になる。
戸田家の兄弟 The Brothers and Sisters of the Toda Family
1941年 /105分 /白黒 出演:高峰三枝子、佐分利信、藤野秀雄、葛城文子、吉川満子
名家といわれる戸田家だがある日父が急死する。父に多額の借金があり、屋敷は売却される。母と三女節子は兄弟の家をたらい回しにされる。そんなある日天津から次男の昌二郎が戻って来る。昌二郎は兄弟姉妹の薄情さを非難する。「小津作品は当たらん」という定評を破っての大入りだった作品。
秋刀魚の味 An Autumn Afternoon
1962年 /112分 /カラー 出演:笠智衆、岩下志麻、三上真一郎、佐田啓二
初老の会社員平山は妻に先立たれ、次男と娘の3人暮らし。娘の路子をなかなか手放す気になれない。しかし同窓会で恩師が自分の娘を結婚させてやれなかったと悔やむのを見て気が変わる。路子の好きな相手を探し出し、長男と組んで積極的に追いかけるが、相手は既に婚約していた。
淑女は何を忘れたか What Did the Lady Forget?
1937年 /75分 /白黒出演:栗島すみ子、斉藤達夫、桑野路子、佐野修二、坂本武
大学の医学博士である小宮は恐妻の時子と二人暮らし。泊まりがけのゴルフへ行かず、なじみのバーへ行った小宮に姪の節子が内緒にするから料亭へ連れて行ってほしいと頼む。酔っぱらった節子から嘘がばれるのを恐れた小宮はある小細工をするが…


